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数学における接続(せつぞく)とは、多様体上に定められた様々なファイバー束について、ファイバーの間の''平行移動''を与える微分方程式的な概念である。この項では特にリー群を構造群とする主束の接続について解説する。 主束の接続を決めることは、束の全空間の接空間のなかで構造群の作用によって不変な「水平な方向」を定めること同じである。したがって、主束の接続はシャルル・エーレスマンによって導入された〔 〕エーレスマン接続の特別なものと見なすことができる。 主束上に接続が与えられると、構造群の線形表現に付随するベクトル束に対してベクトル束の接続・共変微分を誘導することができる。また、リーマン多様体のレヴィ・チビタ接続など多くの幾何学的に重要な概念が主束の接続として定式化されている。 == 接続の歴史 == 主束に限らずに接続の歴史を概観する。歴史的には、接続は無限小の視点からリーマン幾何学を扱う際に研究された。クリストッフェルの研究に端を発し、後にリッチ(Gregorio Ricci-Curbastro )とレヴィ・チビタ(Tullio Levi-Civita)が精力的に研究した〔Levi-Civita, T., Ricci, G. (1900), "Méthodes de calcul différential absolu et leurs applications", Math. Ann. B 54: 125–201, doi:10.1007/BF01454201〕。彼らはクリストッフェルの意味の接続が平行移動の概念を許容することを確かめている。 レヴィ・チビタは平行移動がその解となるような微分作用素としての接続に注目した。時代が進むのに併せてエリ・カルタンが接続の新しい形式を開発した。彼はクラインのエルランゲン・プログラムにパフィアン(Pfaffian system)に関する技術を応用する手段を探していた。彼はある無限小の接続の概念()が適用できることを発見した。この接続は曲率を許容する(古典的なクライン幾何にはないと思われていた)〔Cartan, Élie (1924), "Sur les varietes a connexion projective", Bulletin de la Société Mathématique 52: 205–241〕〔Cartan, Élie (1983), Geometry of Riemannian spaces, Math Sci Press, ISBN 9780915692347〕。更に、ダルブーの結果を用いてカルタンは平行移動をカルタン接続にまで一般化することができた。このことは現代でも主要な扱い方の1つである微分形式としての接続を確立した。 微分作用素としての接続と、微分形式としての接続と、接続の理論における二通りの扱いは、現在に至るまで残っている。1950年、Koszul はを使って微分作用素としての接続について代数的な枠組みを与えた〔Koszul, J. L. (1950), "Homologie et cohomologie des algebres de Lie", Bulletin de la Société Mathématique 78: 65–127〕。Koszul 接続はレヴィ・チビタ接続よりも一般的で、かつ接続の形式化において不恰好なクリストッフェル記号を最終的に除去することができた(少なくとも隠すことができた)ので取り扱いが容易であった。付随する平行移動操作は接続の用語を用いた自然な代数的解釈を持つ。Koszul 接続は共変微分と平行移動の概念との解析的な対応を代数的な対応に書き換えるので、微分幾何学のコミュニティに受け入れられた。 同じ年、カルタンの学生のエーレスマン(Ehresmann)は主束、一般にはファイバー束の文脈から微分形式としての接続の多様性を提示した〔。エーレスマン接続は、厳密にはカルタン接続の一般化ではない。Cartan's equivalence methodとの関係により、カルタン接続は底空間の微分構造と強く結びついている。エーレスマン接続は陳省身のような当時の幾何学者の基礎的な結果に対して、むしろ強固な枠組みであった。陳省身は当時ゲージ接続と呼ばれることになるものを研究するのにカルタン接続から離れている。エーレスマンの視点からは主束の接続は全空間の「水平な」或いは「鉛直な」ベクトル場の仕様から構成されている。このとき平行移動は底空間の曲線を全空間の水平なベクトル場への持ち上げだと見なせる。この視点は、ホロノミーを考える際に特に有用であることが示されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「接続 (主バンドル)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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